はじめに
「不動産投資で節税できる」と耳にすることも多いでしょう。
しかし、実際どのように節税できるのか、仕組みついてはよくわからない、という人は多いのではないでしょうか。
確かに、不動産投資の節税の仕組みを利用すれば、所得税や住民税、贈与税、相続税など各税金の負担を軽減できる可能性はあります。
しかし「節税目的だけ」のために不動産投資を始めると、落とし穴にはまってしまうことも。
不動産投資と税金、節税の仕組みについて知り、思わぬ失敗を防ぎましょう。
不動産投資で節税は可能だが注意点がある
インターネットで検索すると、「不動産投資で節税できる」という意見もあれば「不動産投資で節税できるなんて嘘」という意見を見かけることもあります。
なぜ、このような正反対の意見があるのでしょうか?
実際、不動産投資で節税はできるのでしょうか?
答えとしては「節税は可能だが、節税には向き・不向きがあり、もともとの納税額が少ない人だと節税効果を感じられないこともある」というのが適切でしょう。 つまり節税効果を十分に享受できるのは、もともと高い税金を支払っている人であるということです。 節税という言葉だけを聞いて、やみくもに不動産投資を始めても、節税効果を得られないばかりか、コストだけがかさんでしまうことになりかねません。 まずは不動産投資によって「どの税金を、どのように節税できるのか?」を知り、資金計画と税金対策をしっかり立てましょう 。
不動産投資による節税の仕組み
不動産投資によって節税できる仕組みは、税金の種類によって変わってきます。
例えば、所得税・住民税を節税できるのは、経費計上や損益通算といった方法で課税所得を減らせるからです。
一方で、相続税を節税できるのは、資産を不動産に変えると相続税の評価額を低くできるからです。
このように、ひと口に節税と言っても対象となる税金によって節税の仕組みは異なります。
それでは、個人の所得税・住民税や相続税・贈与税、法人税の節税まで、それぞれの節税の仕組みをわかりやすく解説していきましょう。
【個人の所得税・住民税】
個人の所得に応じて納税額が変動する所得税と住民税は、不動産投資の節税で最も耳にする税金ではないでしょうか。
所得税と住民税を節税できる仕組みは、主に以下の2つです。
①不動産投資に必要な不動産取得費を減価償却費、取得・維持にかかる税金、保険料などの諸費用を経費として計上することで、課税所得を減らして節税する。
②不動産投資で持ち出しが発生している状態、いわゆる赤字経営の時期に、赤字所得を本業の所得から差し引いて損益通算できる。結果として本業の課税所得を減らすことで節税する。
どちらも個人にかかる全体の課税所得を減らすことで、所得税・住民税を減らす仕組みです。
ただし、このうち②の方法は赤字運用の時期しか活用できません。不動産を購入した初年度しか節税できない可能性もあり、2年目以降においては有効な節税方法であるとは言えないでしょう。
よって、もともと所得税・住民税が高く、少しでも納税額を軽減したい人が検討すべき方法は、上記のうち①の経費計上です。 不動産投資では税金や保険料に修繕費などさまざまな費用を経費として計上できますが、もっとも節税効果を見込める経費計上の方法は、不動産の取得費を「減価償却」する方法です。 それでは、詳しく説明していきましょう。
【減価償却による節税の仕組み】
「減価償却」とは、時間の経過や使用によって価値が減少していく資産を取得した際、その不動産取得費用を耐用年数に応じて経費計上する方法です。
土地以外の不動産も時間の経過によって資産価値が減少していくものなので、この減価償却を利用できます。
そのため物件を購入した初年度だけではなく、購入後数年(耐用年数)にわたり、経費として計上できるのです。
減価償却費=経費として計上できる金額が多ければその分課税所得を減らせるため、結果として所得税や住民税を軽減できるという仕組みになっています。 ただし、減価償却費を計上できる期間は法定耐用年数までであり、耐用年数が過ぎて減価償却も完了すると減価償却費の計上による節税効果は見込めなくなります。
【個人の相続税・贈与税】
不動産投資で節税といえば所得税と住民税が話題に上がることが多いですが、実は相続税や贈与税対策にも有効です。
相続や贈与を考えている人の中には、自分が亡くなった後に相続税として資産を引き継ぐのか、自分が亡くなる前に生前贈与して資産を引き継ぐのか、悩まれている方も多いことでしょう。 どちらの方法が良いかはご家庭の状況によっても変わってくるので、やみくもに不動産を購入せず、税理士などに相談してみると良いでしょう。
【法人税】
不動産投資の規模が大きくなってくると、課税所得が膨らみ、不動産投資事業にかかる所得税も増えてしまいます。
不動産投資の運用が順調で課税所得が増えてきた場合は、法人成り(法人化)をして法人名義で物件を取得することで節税効果を得ることができます。
なぜなら課税所得が大きくなると、個人事業主が支払う所得税率よりも、法人税の税率の方が低くなるからです。
法人成りの基準としては、個人の所得税率が小規模な普通法人の所得税率15%を上回り、20%になったタイミングです。
毎年の確定申告で課税所得と税率がどう変化するか確認しておき、税率が高くなったタイミングで税理士に相談してみるといいでしょう。
法人化には節税効果のほか、経費の範囲が広がったり、社会的な信用を得られて融資が通りやすくなったりというメリットも期待できます。
設立準備の手間や費用、維持費用(住民税均等割)がかかるというデメリットはありますが、収益化がうまくいった場合、法人化も選択肢に入れておくといいでしょう。
節税目的での不動産投資の落とし穴【5つの失敗例】
前章では、不動産投資による節税の仕組みを解説しましたが、節税目的のみの不動産投資や、赤字経営で節税するために不動産投資を行う方法には落とし穴もあるため、注意してください。 ここでは、節税目的で不動産投資を始めて失敗してしまった人の失敗例を5つご紹介しましょう。
失敗例①賃貸需要のない土地に物件だけ残される
「所得税・住民税や相続税を節税したい」という思いが強いあまり、周辺の賃貸需要について調査せず、とにかく需要のない土地に物件を建ててしまうと失敗しやすくなります。
日本は人口減少社会にあります。需要がない土地に賃貸物件を建てても、年月が経つほどに空室が発生するようになるでしょう。
需要がなければ空室を埋めることは難しくなります。最終的には入居者のいない物件だけが残され、コストばかりかさんで大変な思いをすることになりかねません。
失敗例②追加融資を受けにくくなる
「赤字経営だと節税になる」と聞き、節税目的のみで大規模な投資用不動産の建設・購入をしてしまい失敗するケースもあります。
投資用不動産の新築や購入には多額の費用がかかるので、不動産投資ローンを利用する人も多いでしょう。
しかし、多額の借り入れがある状態で赤字経営が続いている場合は、追加で融資を受けたくてもローン審査に通らない可能性があります。
不動産投資ではローンの返済以外にも、物件を維持するための定期的な修繕費や管理会社への支払い費用等の維持費用や固定資産税の支払いといった税金がかかります。
赤字経営のため、大規模修繕の費用を確保するために追加融資を受けようと思っていても受けられず、老朽化した物件には入居者が入らなくなり、ますます赤字が膨らんでいく…… そんな悪循環に陥ってしまえば、不動産投資そのものを継続することさえ困難になるでしょう。
失敗例③資金繰りが悪化しローンの返済ができなくなる
新築~築浅の段階から空室のある状態が続いているような物件は、築10年、20年と経つと、ますます入居希望者が少なくなる恐れがあることを、十分考慮しておかねばなりません。 資金繰りが苦しくなったとしても、築年数が経過した物件で、大幅に新規入居者を増やすことは難しくなるので、結果としてローン返済ができず、物件を差し押さえられるようなリスクも考えられるのです。
失敗例④相続時に共有名義にしたためトラブルになる
資産を不動産に変えて相続させることで、節税効果を得ることは確かにできます。 一方で、現金と違って不動産は簡単に分割することができないため、それ故のデメリット、リスク面も考えておくべきでしょう。
例えば、相続を公平にするために、物件を配偶者や子どもの共有名義にする、という方法も考えられます。
しかし、共有名義での不動産運用は「大規模修繕や売却の際、名義人全員の同意が得られず思うように修繕や売却ができなくなる」 というトラブルも起こり得ます。
失敗例⑤不動産所得にも税金がかかる
当然のことですが、不動産所得には税金が課されます。 つまり、節税のために不動産投資を始めても、家賃収入で収益が出ればまた違う形で税金が発生するということです。 赤字経営で損益通算して節税していた人も、減価償却でしっかり経費計上している人も、不動産投資で費用を上回る収入があれば、差額の不動産所得に対して税金が発生します。 永続的に税金を支払わない状態を、維持することはできません。投資として収益を得れば税金がかかるものなので「節税だけを考えて不動産を持つ」ことには慎重になりましょう。
不動産投資の節税で重要な5つのポイント
ポイント①節税のみを目的とした不動産投資は避ける
節税のためだけに赤字経営の不動産投資を続けると、築年数が経過してから苦労が増えてしまうでしょう。
将来、事業を引き継ぐお子さんやお孫さんにも大変な思いをさせてしまうかもしれません。
そのため「不動産投資で利益を出せば、一定の税金は納めなければならない」という認識をもっておきましょう。
その上で、できる限り納税額を抑えられる方法を、税理士などの専門家に相談しつつ取り入れるという方針が大切です。
ポイント②ほかの節税方法も検討する
節税の方法は、不動産投資だけではありません。
個人型確定拠出年金(iDeCo)の活用や、扶養する親族の構成を検討することなど、他の節税方法を選ぶ方法もあります。
他の節税方法と不動産投資による効果を比べて、有効な手段を選びましょう。
ポイント③融資を受ける銀行への印象も考慮する
節税効果を発揮させるために不動産投資事業の収支を赤字で計上した場合、金融機関から「不動産経営がうまくいっていない」と見られてしまうケースもあるかもしれません。
今後、さらにローンを組んで物件を増やす予定があるなら、将来的には黒字に転換していくような計画を立てて運用していくことも重要です。
そのため
「赤字経営が続くとしてもその合理的な理由を説明できること。また永続的にすべきではないこと」
「将来的には繰り上げ返済をするなど、ある程度の黒字を出せる状況に変えていくこと」を心がけましょう。
ポイント④税制についての理解を深める
所得税や法人税、相続税などの税制は、折に触れて改正が行われます。
毎年12月頃には、政府や与党が翌年度以降の税の仕組みをどう変えていくかをまとめた「税制改正大綱」を発表しています。 新聞にも掲載されますので、オーナー自らが勉強し、税制について理解を深めましょう。
ポイント⑤20年後、30年後の姿を思い描いて投資する
建物は時間が経てば老朽化し修繕が必要になります。 入居希望者のニーズに合わせてリフォームを行ったり、入居条件も変えたりすることになるかもしれません(例:ペット不可から可へ)。
また、物件オーナーの家庭環境が変わることもあり、お子さんへの事業承継を考える時期も来るかもしれません。 何か決断をするときは、「こうすれば節税効果がある!」「こうすれば空室が埋まる!」などの言葉に踊らされてはいけません。 目先のことだけではなく、20年後、30年後にどのような影響が出るかを考え、事業計画をきちんと立てることが大切です。
まとめ:節税のための投資はやめよう!
ここまでご紹介したように、不動産投資で所得税・住民税や相続税の節税効果が得られる場合も、確かにあります。 しかし、節税のためだけの不動産投資は、後に空室が増えたり、資金繰りの悪化などのリスクも背負ったりする可能性があり、本末転倒ともいえます。 このように、不動産投資に伴う制度や仕組みの中には、リスクもあるのだという点についても知った上で、計画的に不動産投資を始めましょう。 「不動産投資によって収入を得たら、ある程度の所得税(または法人税)は納税しなければならないもの」と考え、できるだけ納税額を抑えられる方法を選ぶことが大切なのです。
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